遠い未来の話です。
人類は世界的な食糧難に見舞われます。
全ての人間には平等、愛、正義という素晴らしい概念があります。
争うのは良くないので、みんなでわずかな食料を分け合うことにします。
極端な例ですが、1日に3個の固形栄養食を、10人の人間で分け合う過酷な生活が始まるとします。
愛と優しさを持ち寄って、空腹を耐え忍ぶんです。
どれくらい、私たちは生き延びられるでしょうか。
あっという間に、全員そろって飢え死にしそうです。
だけど、もし、この10人の中に1人でも、愛のない個体がいて、
「他の9人を殺せば、栄養食を1日3個、食べられるじゃあないか」
と思考し、その通りに行動したなら。
ちょっとだけ、そいつは他の個体より長生きしそうな気がするんです。
そしてその個体こそが、人類の遺伝子を1日でも先の未来へ残せる可能性なんだと思うんです。
現代社会に当てはめれば9人を殺した1人は身の毛もよだつ犯罪者だけど。
人類にはどうしても1~2%ほど、そういう人間がいて、彼らは生存戦略的に必要な多様性の一つなんだと思うんです。
善とか、悪とか、そういう話じゃないんです。
なんというか、サイコパスでなくとも、人には悪いスイッチみたいなのがあると思うんです。
おなかが空くとイライラする。
寝不足になるとイライラする。
不安になるとイライラする。
とか、体が危機を感じて、その悪いスイッチをONにして、危機を排除しようとする本能のようなもので、
そのイライラがあるからこそ、人は生き延びてきたんだと思うんです。
おなかが空いてイライラさせれば、攻撃的になって、食糧確保に見境がなくなり、生き残る率が上がったとか、
寝不足や不安も、攻撃性を増して外敵の排除に務めさせて、周囲の安全を確保して休息を取らせようとか。
上記の10人の食糧問題も、イライラさせることによって、食料を奪いやすく、争いを起こしやすくして、
より強い個体が生き延びれるような、そういう競争を起こすことができると思うんです。
誰もが、そういうスイッチを持っているんじゃないかな、と思うんです。
つまり、環境さえ整えば、人は優しくもなれるし、残虐にもなれる、そういうスイッチがあると思うんです。
あなたは、「自分はまさか、人を殺したりしない」と思います?
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